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労働判例110番

株式会社コナミスポーツクラブ残業代請求事件

(名ばかり管理職が認められた例)

当該事件は、当事務所の鵜飼弁護士及び上野弁護士が代理人として戦い、判決を得ることができました。社会的に意義のある事件ということで、判決後には記者会見を開き、NHKや大手新聞各社で大々的に報道されました。詳細は、以下の通りです。なお、同裁判は、第一審に引き続き、高裁判決でも労働者側の請求が認容されました。
東京地方裁判所平成29年10月  6日労働判例第一審の判決文はここをクリック
東京高等裁判所平成30年11月22日労働判例控訴審の判決文はここをクリック
事案
株式会社コナミスポーツクラブの支店長(当時)が、雇用主である運営会社に対し、残業代を請求した事案。本件においては、会社が就業規則で支店長を管理監督の地位にある者として定めていた。そのため、会社側は、支店長は「管理監督者」に該当し、残業代は発生しないと主張し、労働者側からは、支店長は「名ばかり管理職」に過ぎず、他の従業員同様に残業代が支払われるべきであると主張した。
主な争点
スポーツクラブの支店長は、「管理監督者」(労働基準法41条2号)か、「名ばかり管理職」か。
原告の主張
支店長は「名ばかり管理職」である→会社は残業代を払わなければならない。
被告の主張
支店長は「管理監督者」に該当する→残業代は発生しない。
結論
従前の裁判例では、管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者をいい、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであるとされている。
そして、本判決でも裁判所は、スポーツクラブの支店長が管理監督者に該当するか否かを実態に即して判断し、スポーツクラブの支店長が「名ばかり管理職」であると判断し約300万円の残業代の支払いに加え、付加金90万円の支払いも認め、合計約400万円の支払いを認めた。
判決に対する原告代理人のコメント
ウカイ&パートナーズ法律事務所 弁護士 鵜飼 大
弁護士 上野一成
1 本件の概要
平成29年10月6日、株式会社コナミスポーツクラブに対する元従業員が請求した残業代請求が認容されました。
株式会社コナミスポーツクラブでは、各支店の支店長は、「管理職」であると就業規則で定められており、時間外労働と休日労働に対する残業代が支払われていませんでした。
そして、原告が同社に対して未払い残業代を請求したところ同社は支払いを拒絶したため、原告は、会社に対して300万円以上の未払い残業代を請求して本訴訟を提起しました。
2 管理監督者について
「名ばかり管理職」が社会的に大きく取り上げられたのは、日本マクドナルド事件(東京地判平成21年1月28日労判953号10頁)で、ファーストフード・チェーン店の店長が、管理監督者には該当しない、「名ばかり管理職」と判断されたことがきっかけでした。
「名ばかり管理職」については、まだ、最高裁の判例で基準が確立されてはいません。厚生労働省の通達や、下級審裁判例で大まかな判断枠組みが示されています。
そもそも、労働基準法が、管理監督者を残業代の支給対象外としている趣旨は、「その者が、経営者と一体的な立場において、労働時間、休憩及び休日等に関する規制の枠を超えて活動することを要請されてもやむを得ないものといえるような重要な職務と権限を付与され、また、そのゆえに賃金等の待遇及びその勤務態様において、他の一般労働者に比べて優遇措置が講じられている限り、厳格な労働時間等の規制をしなくてもその保護に欠けるところがないという趣旨に出たものと解される」(神代学園ミューズ音楽院事件・東京高判平成17年3月30日労判905号72頁ほか)からです。
3 本件で示された判断
上述した法の趣旨からは、管理監督者に該当するといえるためには、その役職の名称だけでなく、実質的に以上のような法の趣旨が充足されるような立場にあると認められるものでなければなりません。
具体的には、
  • 第一に、職務の内容、権限及び責任に照らし、労務管理を含め企業全体の事業経営に関する重要事項にどのように関与しているか。すなわち、経営者と一体的な立場において、同法所定の労働時間の枠を超えて事業活動をすることを要請されてもやむを得ないものといえるような重要な職務と権限を付与されているかという点が考慮要素となります。
    本件では、支店長はアルバイトを採用・解雇するためには会社の決裁が必要でしたし、経費についても、1円のものを購入する場合にも会社の許可が必要で、権限は限定されており、企業全体の事業経営に関する重要事項に関与しているとはいえませんでした。
  • 次に、その勤務態様が労働時間に対する規制になじまないものであり、労働時間に関する自由裁量性があるかという点が考慮要素となります。
    本件では、支店長は出退勤をタイムカードで管理されていましたし、支店では人手不足で、支店長も一般のスタッフと同様にシフトに入らなくてはならず、裁量がありませんでした。
  • 最後に、給与(基本給、役付手当等)及び一時金において、管理監督者にふさわしい待遇がされているか否か、すなわち、他の一般労働者に比べた相当な優遇措置が取られているかという点も重要です。
    本件では、支店長の役職手当は5万円という程度にとどまります。株式会社コナミスポーツの制度では、人によっては、管理職になって残業代が出なくなることで、逆に昇進前よりも給料が下がってしまうという逆転現象もありました。

以上の3つの考慮要素から、実質的に、判断されました。
4 本判決の意義について
上述したとおり、「名ばかり管理職」について最高裁の判例での基準はまだありません。
ですが、厚生労働省の通達や数多くの下級審裁判例では判断枠組みが示されており、先ほどお話しした枠組みに沿って、支店長が「名ばかり管理職」であるという判断が出た今回の判決は、妥当なものであると受け止めています。
会社が、就業規則において、管理監督の地位にある者として、支店長を、時間外・休日勤務手当の支給対象から除外していたとしても、労働基準法の管理監督者に該当するかは、厳格に判断されるものであることが明確になりました。
5 本判決が社会に与える影響について
スポーツクラブの支店長が「名ばかり管理職」であると判断した今回の判決は、多様な業種において、支店長という名の下に残業代が支払われていない現状を変え得る判決かと思います。
以上

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